私がこの一年間ほど専念してきたのは、日本語の形式化され たある部分に関して、再帰的な真理定義を構成するという形 での意味論(「タルスキ=デイヴィドソン型意味論」と呼べ よう)を作ることです。現在までに扱うことのできたのは、 (1)修飾節を含む名詞句、(2)後置詞句を伴う動詞と、それに 対する態の操作、(3)取り立てと否定、という三つです。 それぞれに関して私が取った手段は、(1)は制限つき量化 (restricted quantification)、(2)は出来事意味論 (event semantics)、(3)は適切性条件と真理条件の組み合 わせという具合に特徴づけられるでしょう。
この全体についてお話するのは無理ですので、(1)と(2)の両 方にまたがる話題として、「依存的量化」と私が名付けた、 ある種の量化を仮定することによって、標題にあげたような 話題について、統一的な扱いができることを示したいと思い ます。
なお、上記の(1)の部分は、すでに今年の3月、「科学研究費 研究成果報告書」という形で冊子体で出ています。希望者に はおわけしますので、下のメー ルアドレスまでご連絡ください。
iida[at]phil[dot]flet[dot]keio[dot]ac[dot]jp